2010年10月2日土曜日
ジェネラル・ルージュの凱旋 [映画]
ジャンル:ミステリー 公開年:2009年
キャスト:竹内結子 阿部寛 堺雅人 羽田美智子
監督:中村義洋
評価:★★★★☆
「チームバチスタの栄光」の続編。前回の事件を解決したことにより、倫理委員長を任せられた田口(竹内結子)。田口のもとに、「ジェネラル・ルージュ」と呼ばれるやり手、若手、行動力がずば抜けている救急外科医の速水(堺雅人)がメディカルアーツという企業との癒着を告発する文書が届く。病院長から内密な解決を依頼され、調査が始まる。
そんな折、白鳥(阿部寛)のもとに告発文が届き、その調査のため、病院にくる白鳥。そんな中、メディカルアーツの営業マンが転落死を遂げる。告発文の存在が倫理委員会副委員長の沼田に知られることとなり、倫理委員会の開催が避けれれない状況に。そして、速水を糾弾する倫理委員会が開かれる・・・。
[レビュー]
非常に面白い映画だった。
今回は前作と異なり、白鳥の活躍はまったくと言っていいほどない。(田口の活躍も無いが、それは前回と同様。)それに引き替え、後半以降は堺雅人ワールド全開である。
利益が出せない、救急医療において、どんどん予算が削られる。そのため、医者も削られる。しかし患者は来る。どうしても赤字が続くという、現代医療の問題点を背景に、それでも一人でも多くの患者を救うために、あえて癒着を行った速水とそれを知りながらも黙認し続けた花房が泣ける。
ジェネラル・ルージュの呼び名の由来は10年前の事故において、指揮官の速水に青ざめた顔を隠すため、花房が口紅を引かせたことであった。10年後の火災事故の対処の際、同じように花房が口紅を差しだし、速水が口紅を塗るシーンは映画として、なかなか見せどころだった。
速水:「俺も成長しないな。。。」
しかし、高嶋政伸がメディカルアーツの営業マンを殺した犯人を知った時の顔芸・・・さすがです。
館島
著者: 東川 篤哉 出版: 2005年
評価 ★★★☆
螺旋階段の下に、館の当主の死体があった。その死体は転落死ではなく、墜落死だった。しかし、墜落現場が見つからないまま、半年が過ぎる。半年後、事件関係者が館に集められたとき殺人事件が起こった。館に滞在していた女探偵と若手刑事が謎に立ち向かう。
[レビュー]
目新しいトリックがあるわけではない、普通の推理小説といった印象である。
読んでいて、スリルもないし、ドキドキワクワク感もない。取り立てて盛り上がりを
見せない作品だ。
これだけだと、駄作を思われてしまうので、一応フォローを。
この小説はトリックがウリではないと思う。主人公の若手刑事のキャラクターだが、
真面目なのだが、頭が決して良くはなく、またかなり適当だ。
その適当加減が楽に小説を読ませてくれる。ある意味推理小説の新しいタイプの主人公と
言えるのではないだろうか?
館の形が瀬戸大橋を支えるネジの一本を表現しているという、アイデアは
想像できないものであった。
2010年10月1日金曜日
毒殺魔の教室
著者: 塔山 郁 出版: 2009年
評価 ★★★★☆
楠本大輝は小学校6年で、命を落とした。毒殺だった。犯人は同じクラスの三ツ矢昭雄。そして、三ツ矢はその数日後に同じ毒で自殺した。
なぜ、このような事件が起きたのか?事件から、数十年後に真相を知るため、調査が開始された。
[レビュー]
第7回『このミステリーがすごい!』大賞の優秀賞受賞作。章ごとに小説の主体が変わり、その人目線での語りから、少しずつ真実が明らかになるという形で話が進んでいく。少し前に話題になった「告白」も同様の手法の小説のため、二番煎じの扱いを受けた。
テンポよく進むストーリーは読み手を飽きさせないパワーがあったが、前後半で主人公が変わりのだが、その意味がなかったように思う。後半は過去の事件に大きく関わる蓬田美和を軸に語られていくが、最初から蓬田美和を主人公としても良かったと思う。また、話自体は面白く、非常に読みやすいのだが、この小説は共感できる人間が一人も登場しないところが残念であった。毒殺される楠本大輝も、美人かつ狡猾な仙石夏美も、主人公の蓬田美和も、大輝の兄の楠本圭吾も魅力的ではない。しかもラストもそれほどすっきりしない。ただ、全体的にはまとまっており、非常に良作であったと思う。
三ツ矢昭雄の自殺前の言動、じゃんけんで後出しして、わざと負け、「負けちゃった。しょうがない。俺が責任取るよ。」。そして自殺の流れは唯一この小説の中で見られた心に残るシーンであった。
評価 ★★★★☆
楠本大輝は小学校6年で、命を落とした。毒殺だった。犯人は同じクラスの三ツ矢昭雄。そして、三ツ矢はその数日後に同じ毒で自殺した。
なぜ、このような事件が起きたのか?事件から、数十年後に真相を知るため、調査が開始された。
[レビュー]
第7回『このミステリーがすごい!』大賞の優秀賞受賞作。章ごとに小説の主体が変わり、その人目線での語りから、少しずつ真実が明らかになるという形で話が進んでいく。少し前に話題になった「告白」も同様の手法の小説のため、二番煎じの扱いを受けた。
テンポよく進むストーリーは読み手を飽きさせないパワーがあったが、前後半で主人公が変わりのだが、その意味がなかったように思う。後半は過去の事件に大きく関わる蓬田美和を軸に語られていくが、最初から蓬田美和を主人公としても良かったと思う。また、話自体は面白く、非常に読みやすいのだが、この小説は共感できる人間が一人も登場しないところが残念であった。毒殺される楠本大輝も、美人かつ狡猾な仙石夏美も、主人公の蓬田美和も、大輝の兄の楠本圭吾も魅力的ではない。しかもラストもそれほどすっきりしない。ただ、全体的にはまとまっており、非常に良作であったと思う。
三ツ矢昭雄の自殺前の言動、じゃんけんで後出しして、わざと負け、「負けちゃった。しょうがない。俺が責任取るよ。」。そして自殺の流れは唯一この小説の中で見られた心に残るシーンであった。
2010年8月29日日曜日
花とアリス [映画]
ジャンル: ドラマ 公開: 2004年
キャスト:鈴木杏、蒼井優、郭智博
監督:岩井俊二
評価 ★★★★☆
花(鈴木杏)とアリス(蒼井優)は大の仲良し。ある日、中学校への通学電車で花は宮本(郭智博)に一目ぼれをする。
高校に入学後、花は宮本と再会する。ある日頭を打った宮本を花は介抱するが、宮本に記憶喪失だと思い込ませ、自分は宮本の彼女であると信じ込ませる。違和感を覚えつつも、花の言うことを信じる宮本。
ささいな嘘からアリスまで宮本の元カノと偽ることになり、不思議な三角関係が展開していく。
[レビュー]
透明感のある映像とストーリーはまさに岩井俊二ワールド。本作ではさらに、蒼井優の持つ透明感が加味され、非常に爽やかで、清清しい作品になっている。
大きな起承転結があるわけではない、学園生活の一コマを切り取っただけであるにも関わらず、面白く感じるのはさすがの脚本力といわざる得ない。
私は大好きな作品である。
蒼井優が好演しすぎているため、主役の鈴木杏が若干喰われている印象を受けるが、鈴木杏の演技が下手なわけではなく、決して評価を下げる理由にはならない。むしろ蒼井優と対比して見ると、鈴木杏らしい豪快で視聴者に迫ってくる演技はこの作品において重要な要素となっていると思う。
郭智博の演技自体は管理人は初見であったが、独特の空気感がこの作品の雰囲気に合っており、非常に良い。
蒼井優は現在は完全に名女優のポジションを得ているが、この時期にもその素地はあったのだと思い知らされた。でも、蒼井優のダンスシーンに割いている時間が長いので、蒼井優の映画と言われても仕方ないかも。。。
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